top of page

​会社案内

​社長よりご挨拶

​生まれた時から建築士だった

​昭和26年、初代創業から60年余り、当時では珍しかった設計施工一貫のコンクリート建築から始まり、木造の住宅建築に長く携わってきた猪野工務店の二代目社長が私です。

父親は一級建築士で、四人兄弟の末っ子に生まれた私は長兄とは10歳違いで

二人の兄と一人の姉の下で穏やかな幼少時代を送りました。

猪野家に生まれた男子は父親の仕事に憧れ。父親のあとに続くべく建築士の

道を選びました。

​あとを継ぐはずであった長兄が大手の工務店に就職、重要な職責についたため当時、大阪の建設会社に就職して間もない私が呼び戻されました。

​数寄屋との出会い、そして失敗!

​その当時の猪野工務店は規模を縮小したとはいえ、お客様からの信頼も厚く

そこそこに知られた工務店であったと記憶しています。

そんな中、後継として入社した私は駆け出しの建築士で、すぐ戦力になれる

わけではありませんでした。年齢も一番若く、職人さんとの打合せにも苦労

していました。社長に連れられてお施主様の家に行ったとき、数奇屋の和室の

仕上がり具合を見て、こんな住宅もあるのだと驚きました。

丸太を割って使った長押(なげし)、柱、長押に使った竹。面白いと思いました。こんな家を手がけてみたいと猛勉強しました。

あるとき、一階が全て茶事のための造り、二階が住居という建築の依頼がきました。お施主様と一緒になって思うままの数寄屋

建築が出来上がりました。楽しかったが、工事としては大きな赤字。社長にこっぴどく叱られました。

それに嫌気がさしたわけではありませんが、よさこい祭りの中央公園ステージ、地方車、映像撮影のための大道具片など

​面白いと思うことは何でもやりました。

​ローコスト住宅から再び数寄屋住宅へ!

そのうち営業のノウハウを持たなかった会社は住宅の仕事も減り会社が傾き始めました。

心機一転して取り組んだのがローコスト住宅でした。坪単価29.8万円という代物。安いという点ではお客様の為にならなくもない。規格品を図面通りに造っている感じ。どこか満たされない。

こんな仕事で、将来娘や息子に自慢できるのか。そもそも父の仕事が素晴らしいと思ったから今の自分があるのではないのか。

もう一度お客様の為に家を建てる、本当にプロの目から見てお客様の為になる住宅を建てるという原点に帰ろう。

​そう思ったとき、猛烈に勉強した数寄屋住宅が思い出されました。

​自然素材とデザインへのこだわり

人とその住環境の調和を図れるのは建築家という仕事にしかできないものだと思います。

なかでも数寄屋住宅は日本にあって、その最たるもので、古来より日本の環境のなかで育まれた材料でできています。

木、土、竹、石、紙、まさに自然の材料で無理なく日本人の肌に合うものだと思います。その自然の材料を組み合わせてデザインし建物を構成するのです。

私自身の持論でしかないかも知れませんが、柱なら真四角が真、丸太の角に丸みが残っているのが行、丸太のままが草です。

文字に例えると、楷書、行書、草書のどれが素晴らしいか劣っているかということでなく、それぞれに美しさがあります。

楷書の美しさ持った家が一昔前の高知では一般的でした。日本瓦に漆喰壁、大きな床柱。そこには重厚さはありますが、くつろぎ感がありません。草書には柔らかさがあり。くつろぎ感があります。

例えば山小屋や昔の農家。藁や茅葺き屋根、板張りの壁、丸太の柱、それぞれに良さがあります。どれが良いとかということではありません。

真・行・草を建物で表現するとしたら・・・。使う木材によって真ならケヤキやヒノキ、行ならスギ、草はその他の一般的な安価な材料となりますが、それぞれに味わいがあります。

家の中にも真・行・草があります。真にあたるのが玄関、応接間。人の服装なら裃(かみしも)、タキシードにあたる部屋です。

行にあたるのがリビング。カジュアルな普段着似合う部屋です。

草にあたるのが寝室で、浴衣やふんどしが似合います。真より柔らかで層の姿の方がくつろげます。

住宅は堅苦しいものではなく、くつろぎの場であり、日本人は無意識にそれらを使い分けていると思います。

漆喰は真のものです。代表的な建物はお城で、表面がつるっとしているため緊張感や清潔感があります

住宅にはもう少し安らぎかん、くつろぎ感が欲しいとおもいます。

表面が反射するものより、ザラっとした素材を使うことで乱反射がおき、そこに柔らかさやくつろぎ感がでます。

これも真と草の違いで、住宅に漆喰はかたすぎます。

自然素材として節のある杉板を使ったとすれば草。そうすると山小屋ならいいけれど、住宅には柔らかすぎて節目が目障りです。

真が良いというわけではないし、草が良いというわけでもありません。

​これは住む人の好みの問題だからです。

​自然素材とデザインへのこだわり

そして、住宅は素材やデザインだけでは片手落ちです。

人が住むための住宅は、人を健康にしてくれるものでなくてはならないとおもっています。住環境が、そこに住む人を健康にしてくれる、これこそ住宅の理想の形だとおもっています。

とはいっても、快適な快適な住環境にまつわる様々な弊害は数しれません。ダニ、カビ、埃、電磁波、部屋の中での温度差。

加えて外気から取り込まれる花粉、黄砂、pm2.5など健康に害する要因は様々あります。住む人の個人差もあります。

すべてを解決することはできませんが、可能な限り回避することはできます。

家は安らぎの場であり、くつろぎ、癒しの場、そして人との触れ合いの場でもあります。住み続けるうち体に馴染む、体を守ってくれる器という感覚を持つことができます。

そのような建物をご提供できれば家づくりに関わる者として最高の喜びとおもっています。

私の人生に長々とお付き合い下さり、ありがとうございました。

​長く住宅建築に携わってきた者の感性、プロとしての見方が大切なお客様のお役に立ち生かされることを心より望みましてご挨拶といたします。

社長よりご挨拶
bottom of page